ブランディングにまつわる誤解
ここ数年ブランディング事業の提供者は急増。経営コンサルティング会社や広告代理店・デザイン事務所・個人の中小企業診断士からデザイナーまで幅広い立場の面々が名乗りを上げ、ブランディングへの周知はボトムアップしています。
しかし、それとともに様々な誤解が生まれていることも感じています。
- 今っぽいデザインが得意なクリエイターでも、安くできます!と集まってくる制作会社でも、長期的視点や経営思考でデザインしているとは限らない。
今や、WEB上で募集するクラウドサービスを使えば安価で何十ものデザイン案が集まる時代になりました。中にはオシャレで今っぽい見栄えのものも見つかることもあるでしょう。
また「チラシ1枚●●円!業界最安値!」と安値をウリにするサイトを見つけると、会社の経費削減になるとうれしく思われる方もいらしゃいますよね?
しかしそこには事業への真意が込められているのでしょうか。ライバル会社にプレゼンしたボツ案では?企業経営の仕組みも知らない学生の作かも。支払うデザイン料は非常にリーズナブルかもしれませんが、貴社の事をよく理解して独自性ある価値を表現しているかは運に頼るしかありません。
- コンサルティング会社が言うマーケティング調査の統計データを鵜呑みにしては、ブランディングは成り立たない。
マーケティング調査はあくまで現代社会の現状把握として確かに有用。しかし顧客起点となるブランディングにおいては、統計データを念頭にはしながら、そこからどれだけ顧客が潜在的に期待する価値を見つけ出し表現できるか、という情緒的な感性がものを言います。
統計だけを見て導く答えは、同じようなターゲットを定めた他ブランドにも当てはまる可能性があります。及第点は取れるかもしれませんが、コンサルタントの理屈だけでは机上の空論となりかねず、結局ブランドの軸となるコンセプト立案をどこかに頼まなければなりません。
- コンペ参加業者は、実際の仕事につながることに重きを置いて必死に目新しいアイデアを考えます。
コンペ参加業者は競合に勝ち実際の仕事につながることに重きを置いて必死にアイデアを考えます。
つまりコンペの土俵上では、競合他社より目立つインパクト、担当者の顔色をうかがう、とにかく安価な見積もりを出すなど、長期的な企業の成長を考えて取り組めているのかという疑問が残ります。
また、公平性だけが優先される多数決での採決も企業の内向きな理由に左右され、顧客感性はまるで蚊帳の外。共感獲得は期待薄でしょう。それにコンペのたびに制作会社が変われば、その都度イチからの打ち合わせやデザインフィーを支払うなどコスト効率がいいとも思えません。
そしてもちろん、社長や役員の個人的な好みで企業・商品・サービスの売上が伸びるのなら、ブランディングは必要ないでしょう。